若戸法律事務所

相続手続きの流れ

相続手続きの流れ

カテゴリ:記事コンテンツ

被相続人(故人のこと)の死亡後、相続人などの遺族は葬儀以外にも、さまざまな手続きを行わなければなりません。相続手続きは一般的に以下の手順で進めていきます。期限が設定されているものもあるため、相続開始後は出来るだけ迅速に進めましょう。

①市区町村役場への死亡届の提出(7日以内)
②遺言書の有無の確認・検認手続き
③戸籍の確認・相続人の確定、遺産調査
④相続放棄・限定承認の申述(3か月以内)
⑤所得税の準確定申告(4か月以内)
⑥遺産分割協議書の作成
⑦相続登記、財産の名義変更
⑧相続税の申告・納付(10か月以内)

期限が設定されているものは①④⑤⑧で、とりわけ④⑧が重要です。④は、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内(「熟慮期間」という)、⑧は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に所定の手続きを行わなければなりません。

以下では、各手続きについて簡単に解説します。

①市区町村役場への死亡届の提出(7日以内)
被相続人が死亡したら、被相続人の本籍地か死亡地、または届出人の住所地(住民票がおいてある場所)、所在地のうち、いずれかの市区町村役場へ死亡届を提出しなければなりません。死亡届を提出すると、死体埋火葬許可証が交付されるため、故人を手厚く葬るためにも、死亡届の提出は忘れずに行いましょう。

②遺言書の有無の確認・検認手続き
被相続人が遺言書を残していないかを確認し、遺言書がある場合は家庭裁判所で検認手続きを行わなければなりません。遺言書を発見したら、この手続きを速やかに行わなければならず、手続きを怠ったり、検認せずに遺言を執行したりした場合は過料(罰金)が科されることがあります(民法1005条)。なお、遺言書が公正証書遺言の場合や、法務局保管制度(令和2年(2020年)7月10日から開始)を利用した場合は、検認手続きは不要です。

③戸籍の確認・相続人の確定、遺産調査
被相続人の戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本など)を確認し、誰が相続人になるのかを確定します。後述の遺産分割協議は相続人全員の参加が必要なため、この確定作業は非常に重要となります。
相続人の確定作業と並行して遺産調査を行い、財産目録を作成しましょう。

④相続放棄・限定承認の申述(3か月以内)
遺産に借金などのマイナス財産が多い場合は、相続放棄・限定承認を行いましょう。この手続きは家庭裁判所で、前述の通り期限通りに行わなければならず、期限以内に行わなければ、単純承認(プラス財産・マイナス財産もすべて相続すること)したことになるため、注意しましょう。

⑤所得税の準確定申告(4か月以内)
被相続人が自営業を営んでおり、毎年確定申告を行っていた場合には、所轄の税務署で準確定申告の手続きを行う必要があります。被相続人が民間企業勤務だった場合でも、例えば年間収入金額が2,000万円を超えている場合などでは申告が必要になる場合があります。

⑥遺産分割協議書の作成
相続人が確定したら、誰がどの財産を相続するかを決める遺産分割協議を行います。協議の結果をもとに遺産分割協議を作成し、この協議書は相続登記や相続税の申告の際に必要となります。
協議がまとまりそうにない場合は家庭裁判所の調停や審判を利用することも検討しましょう。

⑦相続登記、財産の名義変更
不動産や、株式・預貯金等の名義書き換えを行います。相続に伴って行う不動産登記の変更は、相続登記と呼ばれ、不動産所在地を管轄する登記所で行います。登記変更をしなくとも不動産を利用し続けることはできますが、売却する際や自分の子どもの世代が相続する際に問題となるため、相続した不動産を確実に自分のものにするためにも、出来るだけ迅速に行いましょう。

⑧相続税の申告・納付(10か月以内)
相続財産の総額が基礎控除額と呼ばれる一定額を超える場合、相続税の申告・納付が必要になります。ほとんどの方は必要のない手続きですが、該当者は必ず期限以内に所定の手続きを行いましょう。

若戸法律事務所は、北九州市を中心に相続手続きの代行、ほかの相続人との協議代行、遺産分割協議書の作成、遺産分割調停・審判など、相続に関するさまざまなご相談を承ります。
当事務所は、弁護士経験40年以上のベテラン弁護士が豊富な実績と経験を活かし、依頼者様の抱えるトラブルやお悩みの解決に尽力します。相続でお悩みの際は、当事務所までご相談ください。